弊社は、ディスプレイ広告をはじめとしたWeb広告の運用を得意としています。
そのため、契約前後を問わず数多くの方々から、広告運用に関するご質問を多数いただきます。
今回は、お客さまからいただくことの多い質問のうち、ディスプレイ広告に関するものを12個ピックアップし、回答します。
なお、記事の中で掲載されていない疑問をお持ちの場合は、ぜひお気軽にお問い合わせいただけますと幸いです。
基本的な特徴に関する質問
まずは、ディスプレイ広告がどのような特徴をもっているのか解説します。
基本的な内容を理解しておくことで、広告運用を開始する際の混乱や失敗を低減できます。
リスティング広告との違いは何ですか?
厳密には、ディスプレイ広告とリスティング広告は対比して解釈すべきものではありません。
なぜなら、ディスプレイ広告はリスティング広告の1形態であり、リスティング広告の中にディスプレイ広告と検索連動型広告が存在しているからです。
ただ、リスティング広告のみを検索連動型広告と捉え、ディスプレイ広告と対比して解釈するケースが一般に多く見られます。
よってこの記事では便宜的に、リスティング広告=検索連動型広告である、という前提のもと解説します。
ディスプレイ広告とリスティング広告(検索連動型広告)の主な違いを表にすると、以下のとおりです。
項目 | ディスプレイ広告 | リスティング広告 |
広告の表示場所 | ・Google・Yahoo!が提携しているサイトやページ
・アプリ ・動画サイト(YouTubeなど) |
検索結果画面上 |
対象顧客 | ・潜在顧客
・検討期間の長い商品の顧客 |
・顕在顧客
・検討期間の短い商品の顧客 |
広告形式 | テキスト、画像、動画 | テキストのみ |
クリック単価 | 平均50〜100円程度 | 平均100~1,000円 |
見込み客へのアプローチ | リターゲティングにて訴求 | 検索集客にて訴求 |
表の中に記載している「クリック単価」とは、広告が1クリックされるごとに支払う広告費のことです。
ディスプレイ広告の方が、リスティング広告よりもクリック単価が低い傾向にあり、同じクリック数を低予算で出稿できます。
具体的な理由は、本記事の後半で解説します。
リターゲティングについては、次の「メリット・デメリット」の項でも解説します。
ディスプレイ広告とリスティング広告の違いについては、以下の記事でも詳しく解説しています。
メリットとデメリットは何ですか?
ディスプレイ広告には、主に以下のようなメリットがあります。
- 【メリット1】訴求できる内容が豊富
- 【メリット2】潜在顧客へアプローチできる
- 【メリット3】商品・会社のブランディングができる
- 【メリット4】リターゲティングができる
【メリット1】訴求できる内容が豊富
テキストだけでなく、画像や動画などのクリエイティブを使った訴求が可能です。
そのため、仮にユーザーからクリックしてもらえなかった場合でも、一定の情報を伝えられるといえます。
【メリット2】潜在顧客へアプローチできる
クリエイティブによる訴求はユーザーにイメージを喚起する効果が期待できるため、潜在顧客にアプローチできます。
潜在顧客とは、悩みやニーズを明確に認識できていない状態のユーザーのことです。
化粧品や健康食品の広告にディスプレイ広告が用いられることが多いのは、こうした潜在ユーザーを対象とする低単価商材との相性が良く、ニーズ喚起をおこなうことで「衝動買い」を誘発できる可能性が高いからです。
ただし、いたずらに衝動買いを促すような広告を出した場合、一時的には利益を得られたとしても、長期にわたって顧客との関係性を築くことはできません。
よって、どのような商材を扱うかに関わらず、ビジネスをおこなう上での大前提として「自社の商品・サービスの価値」と「ユーザーのニーズ」に真摯に向き合う必要があります。
【メリット3】商品・会社のブランディングができる
ビジュアルによる訴求ができるため、イメージを喚起しやすく、商品や会社のブランディンに向いています。
表現方法が豊富で自由度が高いため、競合との差異化がおこないやすいという点でも、ブランディングに好都合な広告だといえます。
【メリット4】リターゲティングができる
リターゲティングとは、一度でも自社のサイトやページを訪れたことがあるなど、自社との接点をもったユーザーに向けて、繰り返し広告を表示させられる仕組みのことです。
つまり、ユーザーが商品・サービスのことを忘れてしまわないようにアプローチし続けることによって顧客から想起してもらいやすい存在となり、購買を促すことができます。
一度で購入に至るというよりも、長期的に表示することで購買のための意思決定をアシストするという側面が強く、検討期間が長期にわたる傾向のある高単価な商材との相性がよい施策だといえます。
一方、主なデメリットは以下の2つです。
- 【デメリット1】リスティング広告よりもコンバージョンに繋がりにくい
- 【デメリット2】改善すべき箇所がわかりにくい
【デメリット1】リスティング広告よりもコンバージョンに繋がりにくい
商品・サービスの購入を検討して積極的に情報収集をおこなっているユーザーにリーチするリスティング広告と比べると、ディスプレイ広告は購買の意思がさほど明確になっていない顧客にリーチする分、成約につながる確率は低くなる傾向にあります。
ただし、直接的に成約につながらなくとも、ユーザーへの認知のきっかけになったり、購買意欲の醸成につながったりするなどの効果が期待できるため、決して成約への貢献度が低いというわけではありません。
【デメリット2】改善すべき箇所がわかりにくい
リスティング広告と同様、広告運用を通じて、クリック率や対象ユーザーの年齢層など、改善につながるデータを取得できます。
ただしこのデータは、検索連動型広告のように検索ユーザーのニーズが如実に反映されるわけではないため、広告のクオリティを判断しづらい傾向にあります。
また、ディスプレイ広告はテキストやビジュアルなど複数の要素で構成されているため、どこがボトルネックになっているのか判断しづらいこともあります。
よって、改善すべきポイントがどこにあるのかを明確に判断するのは、比較的難しいといえます。
広告形式に関する質問
続いて、ディスプレイ広告の種類について説明します。
どのような形式があるのですか?
ディスプレイ広告には、大きく分けて以下2つの形式があります。
- レスポンシブタイプ
- アップロードタイプ
それぞれの特徴は、以下のとおりです。
レスポンシブタイプ
画像や動画に、テキスト(見出し・説明文)を組み合わせて構成されます。
規定サイズの画像・動画とテキストを入力しておけば、デバイスに合わせて最適なサイズで広告を表示してくれる広告形式です。
アップロードタイプ
画像または動画単体で構成される広告形式です。Google広告では「イメージ広告」、Yahoo!広告では「バナー広告」と呼ばれます。
見出しや説明文などのテキストは設定できないため、ユーザーに訴求したい内容はテロップを用いるなどして、すべて画像・動画の中に組み込む必要があります。
アップロードタイプには、推奨される画像サイズがあります。
Google広告とYahoo!広告それぞれについて、具体的な内容は以下の公式ヘルプページを参照してください。
アップロード型ディスプレイ広告の仕様 – Google 広告 ヘルプ
バナー(画像)*アスペクト比(1:1),(6:5),(1:2),(16:5),(16:9),(4:1)など – ヘルプ – Yahoo!広告
形式ごとのメリット・デメリットは何ですか?
レスポンシブタイプとアップロードタイプのメリット・デメリットを、以下の表にまとめました。
レスポンシブタイプ | アップロードタイプ | |
広告作成の工数 | ⚪工数があまりかからない | △工数がかかる |
デザイン管理の自由度 | △細かい管理がしづらい | ⚪細かく管理可能 |
レスポンシブタイプのメリットは、広告作成の工数が少なくて済むことです。
複数のテキストおよび画像・動画を設定しておくだけで、自動的に広告が生成されるため、1つ1つの広告を作成する手間がかかりません。
一方、アップロードタイプのメリットは、デザイン管理がしやすい点です。
すべての広告を手動で設定する必要がある分、広告内の要素に関するレイアウトや組み合わせを細かくコントロールできます。
費用に関する質問
ディスプレイ広告の出稿に必要な費用について解説します。費用の仕組みや相場について把握しておくことは、ディスプレイ広告運用に失敗するリスクを抑えるために重要です。
費用はどのように決まるのですか?
ディスプレイ広告の費用は、ユーザーが広告をクリックする度に発生します。この仕組みを「クリック課金制」と呼びます。
クリックされることによって費用が発生するため、広告が多く表示されたとしても、クリックされない限り広告費はかかりません。
費用はどのくらいかかるのですか?
商材や時期によって異なるため一概には言えませんが、一般的に、クリック単価の平均値は50円~100円ほどです。
なお、他の広告のクリック単価と比較すると、以下のようになります。
広告の種類 | クリック単価(平均値) |
ディスプレイ広告 | 50円~100円 |
検索連動型広告 | 100円~1,000円 |
Facebook/Instagram広告 | 1 |
クリック単価が安い傾向にあるのはなぜですか?
ディスプレイ広告のクリック単価がリスティング広告やFacebook/Instagram広告のクリック単価に比べて安価な傾向にあるのは、他の広告手段に比べて、広告の掲載枠が多いためです。
少ない広告枠を競い合う検索連動型広告やFacebook/Instagram広告と比べると、広告枠1つあたりの競争率が低い傾向にあるため、結果としてクリック単価も下がりやすくなります。
もちろん、商材や対象顧客次第では、クリック単価が高まることもありえますので、自社の広告についての具体的な状態をチェックしておくことは非常に重要です。
想定以上にクリックされた場合には、費用が多くかかってしまうのですか?
1回クリックされるごとに費用が発生するということは、想定を大きく超えるクリックが発生した場合には、予算を大幅に超過してしまう恐れがあります。
そうしたリスクを抑えるため、ディスプレイ広告には、1日あたり・1か月あたりの上限予算を設定できる仕組みが用意されています。
設定した上限予算に達した場合は、広告の配信が自動的に停止するため、広告費がかかりすぎてしまう心配はありません。
もちろん、突発的な要因によりクリック数が急増するケースなどもあるため、上限予算はある程度の余裕をもって設定しておくようにしてください。
対象ユーザーの絞り込みに関する質問
対象ユーザーを絞り込む「ターゲティング」に関して解説します。
どのようにターゲティングをおこなうと効果的なのかを知っておくことで、より効率的な広告運用が可能になります。
ターゲットはどの程度絞った方がいいのですか?
ディスプレイ広告は、さまざまな基準でターゲットを絞ることが可能です。
たとえば、どのような属性のユーザーに広告を表示させるかを設定したり、どの配信面に広告を表示させるかを設定したりできます。
ターゲットを定めずに広告運用をおこなうと、自社の商品・サービスを購入する見込みのないユーザーにまで広告を表示させてしまい、クリックが発生した場合には無駄な費用を支払うことになります。
とはいえ、最初からターゲットを絞り込みすぎるのも、得策ではありません。なぜなら、ターゲットを絞れば絞るほど配信対象のユーザーが少なくなり、機械学習による最適化が進みづらくなるからです。
あまりにもターゲットを絞りすぎると、対象ユーザーが少なくなりすぎて、そもそも配信自体がおこなわれないことすらあります。
そのため、新しい広告を出稿する初期段階では、「ユーザー属性」または「配信面」どちらかのターゲティングを使用し、広告運用のデータが貯まってきた段階で、徐々にターゲティングを狭めていくことをおすすめします。
キーワードは何のために設定するのですか?
リスティング広告のようにユーザーの検索キーワードに対応した広告表示をするわけではないにも関わらず、なぜディスプレイ広告でキーワードを設定する必要があるのか、疑問に感じる方も多いかもしれません。
この疑問を解消するためには、リスティング広告とディスプレイ広告それぞれにおける「キーワード」への考え方の違いを把握しておく必要があります。
リスティング広告のキーワードは「そのキーワードで検索したユーザー」に対して広告を配信するために設定します。言い換えると「誰に対して広告を配信するか」を絞るために設定します。
一方、ディスプレイ広告のキーワードは「そのキーワードに関連するサイト(面)」に対して広告を配信するために設定します。別の言葉で表現すると「どの面に対して広告を配信するか」を絞るために設定します。
より自社の商品・サービスと親和性の高いサイトに広告を表示させることができれば、ユーザーの関心も集めやすく、広告の効果が高まると考えられます。
活用のコツに関する質問
ここでは「ディスプレイ広告を運用しているが、なかなか成果が出ずに困っている」という方から寄せられるご質問を紹介します。
出稿しているのに、うまく表示されないのはなぜですか?
なぜか自社のディスプレイ広告が表示されていない、という場合には、主に以下3つのポイントを確認してください。
1.広告は承認されているか
広告は、検索エンジンによって承認されていなければ、表示されません。自社の設定した広告が承認されているかは、広告管理画面上で確認できます。
承認されていない場合、検索エンジン側の広告ポリシーに違反しているとみなされている可能性があります。各検索エンジンの広告ポリシーを確認してください。
2.入札額は低すぎないか
競合他社と比べて入札額が低すぎる場合、広告枠を獲得しづらくなってしまい、結果として自社の広告が表示されなくなってしまいます。入札額は、「上限クリック単価」によって設定できます。
競合がどの程度の上限クリック単価を設定しているかを具体的に把握することはできませんが、広告管理画面上の「平均クリック単価」を見ると、大まかな目安がわかります。自社の設定している上限クリック単価が、この平均クリック単価を下回っていないかを確認してください。
3.ターゲットを絞りすぎていないか
ターゲットを細かく絞り込みすぎている場合、配信対象のユーザーが少なくなり、広告が表示されなくなってしまうことがあります。
広告の効果を高めるために、より自社の商品・サービスに関心をもってくれやすいであろうユーザーに絞って配信することは、広告を出稿する側としては非常に大切なことです。
しかし、広告をクリックしてもらうことによって「広告費」という収益を得る検索エンジン側の立場を考えると、あまりにも表示対象のユーザーが少ない広告は、管理するメリットが小さいため、そもそも表示させないという判断をされても無理はありません。
ターゲットは徐々に絞り込んでいき、費用対効果のバランスが取れるポイントを探ることをおすすめします。
うまく運用するためのポイントは何ですか?
ディスプレイ広告の運用を成功させるために意識すべきポイントはさまざまですが、まずは以下の2点に着目することをおすすめします。
【ポイント1】広告の目的を明確にする
自社が何のためにディスプレイ広告を配信しているのかを、しっかりと言語化しておく必要があります。
新商品の認知を高めたいのか、見込み顧客とコミュニケーションがとれるように連絡先を獲得したいのか、商品を購入してほしいのかなど、さまざまな目的があるはずです。
目的がはっきりすることで、ユーザーに伝えるべき情報が明確化します。また、自社がリーチしたいユーザー層が明確になるため、どのようなターゲティングをおこなえばよいかも見えてくるようになります。
また、ディスプレイ広告はその性質上、どちらかといえば「認知」「ブランディング」を得意とする広告です。よって、もし「すぐに商品を購入してもらう」などの目的がある場合には、他の広告手段を検討するなどした方が、効果が得られやすい可能性があります。
【ポイント2】効果の高い配信面に絞って配信する
広告の運用データが貯まってくると、どの配信面で表示された場合にユーザーの反応がよいか、どの配信面だとクリック単価が低いか、などの傾向が見えてくるようになります。
こうしたデータをもとに、より費用対効果の高い配信面を見つけ、そこへ集中的に広告を配信することで、広告効果を上げやすくなります。
データの解釈には専門的な視点や考察が求められるケースも多いため、できればプロの意見をもとに判断する方が安心です。
まとめ
本記事では、弊社に多く寄せられる「ディスプレイ広告に関する質問」を取り上げ、回答しました。
記事内ではどうしてもごく簡単な解説となってしまったため、より詳しい内容を知りたい、他の質問についても質問したい、という方も多いかもしれません。
弊社デジタルチェンジでは、ディスプレイ広告をはじめとする広告運用に関するお問い合わせを、いつでも受けつけております。
どんなに些細な内容でもかまいませんので、ご不明点がありましたら、ぜひお気軽にお問い合わせいただけますと幸いです。