リスティング広告には様々な指標がありますが、そのうち特に重要な指標のひとつがCPAです。広告を運用していると、このCPAの数値をいかに下げるかが課題となることがあります。今回はそんなCPAについて、まずは基本情報を確認したうえで、CPAを下げてリスティング広告の費用対効果を高めるための方法を解説します。
【リスティング広告の基礎】CPA(顧客獲得単価)とは何か?
まずはCPAについての基本的な部分を確認します。CPAとは「Cost Per Acquisition」の略で、リスティング広告においてはCV(コンバージョン)1件あたりの費用を指します。「顧客獲得単価」と呼ばれることもありますが、CVの種類はサイトごとに違い、お問い合わせやその前段階をCVとして設定した場合は、その獲得が必ずしも文字通りの「顧客獲得」といえないこともあります。そのため混乱を防ぐために「CV単価」と理解しておけばよいでしょう。
CPAの数値からは、費用対効果を見ることができます。CPAの数値と費用対効果は反比例し、CPAの数値が高くなれば費用対効果は低くなり、数値が低くなれば費用対効果は高くなるといえます。ただ、毎月の数値の比較をする場合などは、数字だけでなくCVの価値(効果)も考慮する必要があります。CV1件の価値が毎月違うと、CPAだけでは費用対効果を比較できません。
いずれにせよ、CPAは広告の効果測定で用いる重要な指標のひとつになります。施策実施前に目標数値を決めておき、実際の数値がどの程度達成しているかをチェックします。
CPAとCPCの違い
CPAと似ている言葉に「CPC」があります。「Cost Per Click」の略で、クリック1回あたりの費用、言い換えれば「クリック単価」のことです。リスティング広告はクリック単位で費用が発生する仕組みなので、CPCも広告の効果測定において重要な指標です。
このように、CPAとCPCは基本的に別のものです。ただし、広告のクリック自体をCVとして計測するのであれば、その場合はCPA=CPCと考えることもできます。とはいえ、GoogleやYahoo!といったリスティング広告の管理画面ではCPCが基本数値として存在するので、わざわざCVとして設定し、CPAとして計測する必要はないかもしれません。
CPAの算出方法は
リスティング広告を運用する際、アカウント上でCVを設定すれば、自動的にCPAを計測することができます。そのため、自分で算出する機会はあまりないかもしれませんが、参考知識として算出方法も知っておきましょう。
CPAの算出方法には、以下の2種類があります。
- CPA = COST(広告費)/ CV(コンバージョン)
- CPA = CPC(クリックあたりの広告費)/CVR(コンバージョンレート)
一般的に、リスティング広告ではCPAを下げるように改善施策をおこないます。上記の算出方法から、CPAを下げるためには以下のような改善が必要と理解することができます。
- COST(広告費)を下げる
- CV(コンバージョン)を増やす
- CPC(クリックあたりの広告費)を下げる
- CVR(コンバージョンレート)を上げる
CPAを下げるための5つの手法
次に、CPAを下げるための5つの手法をご紹介します。現状CPAに課題を持っている方や、これからリスティング広告を始めようと思っている方は、参考にしてみてください。
CVにつながるキーワードを選定する
リスティング広告で入札できるキーワードは幅広く、クリック数を増やすだけなら、CVから「遠い」キーワードだとしても、多くの人が検索するようなビッグワードを選定します。しかし、CPAを下げるのであれば、CVにつながるクリックの割合を増やし、CVRを上げることが重要です。そのためには、CVにつながるキーワード(CVから「近い」キーワード)を意識して選定します。
たとえば、過去データ上でCVにつながっているキーワードや、競合の少ないキーワード、サービスへのニーズが顕著なキーワードなどが挙げられます。
キーワードの一致条件で部分一致を採用されている場合は、検索クエリから実施にCVに繋がったキーワード語句を追加することもお勧めします。
WEBで検索をする際は大きく分けて2つの感情があります。1つ目は調べる事が目的であるサーチ濃度が高い感情。もう1つは、CVに直結するコンバージョン濃度の高い感情。後者のコンバージョン濃度が高いキーワードをしっかりと見つける事が重要となります。
また、CVに繋がった検索クエリから顧客感情の分析を行い、追加入稿をするキーワードを広げていくこともCPAを下げるために必要な最適化の1つとなります。
無駄なクリックをできる限り少なくする
リスティング広告で無駄なクリックが発生する要因は、キーワードだけでなく広告文にもあります。キーワード選定に時間をかけても、広告文が適当だと、サイトとの関連性が低いユーザーが広告をクリックしてしまう可能性もあります。現状の広告文が、見込み客が興味をもつような、サイトとの関連性の高いものであるかどうかをチェックし、必要に応じて修正を加えます。
また、明らかにCVにつながっていない広告文にクリックが集まっている場合には、掲載停止してしまうこともひとつの方法です。予算が限られている場合には、無駄はなるべく省き、見込みのあるところに注力することが重要です。
広告文については、キーワード挿入機能、広告カスタマイザなども活用していくことで適切な広告文を見つけることもできますし、無駄クリックを防ぐ事が可能です。単純にCTRの数値が良いから良い広告文という訳ではないので広告文の最適化を実施される場合はご注意ください。
無駄なクリックを見つけるためには、検索クエリから無駄なキーワードに拡張されていないかを定期的にチェックしてください。定期的にチェックしていない場合は拡張されたキーワードが増えてしまい、無駄なクリックが多くなってしまう事があります。
広告グループを細かく設定する
上述のように、CPCはCPAの算出に用いられる要素であり、CPCを下げることでCPAを下げることが可能です。CPCを下げるにはいくつか方法がありますが、そのひとつが広告グループを細かく設定することです。
CPCの上下には、キーワードと広告文の関連性が関係します。リスティング広告の開始時、とにかく早く開始するために広告グループはひとつだけ設定する場合もあるでしょう。そのとき、ひとつの広告グループに様々な種類のキーワードと広告文が入っていると、その関連性に影響が出る可能性があります。
現状の広告グループを再編し、関連性の高いキーワードと広告文ごとに細かく設定することが、CPCを下げる方法のひとつです。ただし、場合によっては全体のパフォーマンスに影響が出ることもあるので、少しずつ行うなど、考えて作業することをおすすめします。
アカウント構成的に広告グループを細分化する事が難しい場合もあると思います。その際は、キーワード挿入機能や広告カスタマイザなどを使用してキーワードと広告文の関連性を高める広告配信手法もあります。
ランディングページ(LP)とキーワードを合わせる
広告のランディングページ(LP)と入札しているキーワードを比較し、内容が合っているかをチェックします。こちらも関連性を高めれば、CPCを下げられる可能性があるほか、CVRを上げられる可能性もあり、そうすれば最終的にCPAを下げることにつながります。
ランディングページとキーワードの内容が合っていないようであれば調整をおこないますが、関連性を高めるだけであれば、サイト側の修正よりもキーワードの追加・停止をする方が簡単で、ハードルが低いと思われます。ただ、次にご紹介する手法でサイトを大きく修正するようであれば、キーワードとの関連性向上も一緒に行うとよいでしょう。
使い勝手の良いサイトを目指す
広告側を改善してもなかなかCPAが下がらないようであれば、サイトを改善することも検討します。せっかくユーザーが訪問しても、コンテンツの構成が悪かったり、使いづらい設計であったりと問題のあるサイトであれば、すぐに離脱してしまうでしょう。このような状況でCPAを下げるのは困難です。
重要なのは、ユーザー感情(お客様感情)に合ったサイトをつくることです。デザインだけを重視して情報が見づらい、お問い合わせフォームに余計な項目が多いといったことは、CPAを高止まりさせる要因です。サイト上でユーザーがストレスなく、満足のいく体験ができるようにすることが、CVを増やし、CPAを下げるためのポイントです。
デジタル広告の最適化だけはなく、サイト内でのコミュニケーションがユーザーの解決になっているのか、競合優位性はどこなのか、ユーザーが使いにくい構成になっていないか?などをしっかりと調査、分析をおこない最適化を進めなければいけません。リスティング広告経由でサイトに訪れるユーザーは能動的なのでCVRは比較的高くなります。ユーザーの検索に対して的確な回答をサイト上で示すことも重要となります。
まとめ
今回は、CPAについての基本情報と、数値を下げるための手法をご紹介しました。すべての手法での改善を一度に行うのは難しいため、優先順位をつけてできる部分から手を付けるとよいでしょう。