リスティング広告を運用するうえで欠かせないことのひとつが、費用対効果の検証です。定期的に検証しながら、その結果に基づいて施策を実施し、効果を最大化(PDCAサイクル)するのが理想です。今回はそんなリスティング効果の費用対効果について、判断する指標例や、改善のコツなどをご紹介します。
【インターネット広告の王道】リスティング広告とは
リスティング広告とは、検索エンジンでユーザーが検索したキーワードに連動した広告文が表示される広告のことです。GoogleやYahoo!などの媒体に広告費を支払って利用します。
リスティング広告の大きな特徴は、SEOのように中長期的な施策は不要で任意のキーワードと広告文を設定することで掲載結果の上位に広告掲載が出来ることや、広告費の発生がクリック単位であること、広告配信の結果をデータとしてすぐに確認できることです。このことにより、成果に全くつながらない無駄な広告費を支払うリスクを軽減でき、また毎日新しいデータを数値で見ながら、それに基づいた調整を加えていくことが可能となっています。
また、一度サイトに訪れたユーザーに対して広告を検索結果の上位で表示したり、特定の都道府県、市区町村、配信時間、配信デバイスなどを細かく絞り込むことも可能です。Googleではこれらに加えて、ユーザー属性である年齢、性別、子どもの有無、世帯年収の掛け合わせも可能となります。
リスティング広告は仮説を持って効果検証していくことが重要
リスティング広告では「ユーザーには○○という広告文が訴求しやすいだろう」などの仮説を立て、それに基づいた施策を実行し、効果検証していくことが重要です。上述のように、データが数値として比較的すぐに出るので、効果検証と次の仮説立案、実行がしやすいのが、この広告の強みです。広告文のABテストを実施する場合は、タイトル部分で訴求軸が異なるパターンを3つ程度用意することをオススメしています。例えば、金額訴求、時間訴求、労力訴求などABテストの結果が明確になるような訴求軸が望ましいです。
リスティング広告の費用対効果を判断するには?
費用対効果は広告の有効性を測るために重要です。リスティング広告の費用対効果を判断する方法はいくつかありますが、その指標のひとつになるのが「ROAS」です。ROASは「Return On Advertising Spend」の略で、広告費に対する売上を%で示すものです。ROASの算出は、以下の式を用いておこないます。
ROAS(%) = 広告経由の売上÷広告費×100
ROASが高ければ、広告の費用対効果が高いと判断できます。掲載している広告ごとにROASを算出し、その数値が高い広告へ予算を投下することが効果的な運用方法のひとつです。
リスティング広告の費用対効果を上げる!改善のコツ10パターン
ROASも含め、リスティング広告は費用対効果を上げるように運用していくのが、一般的なセオリーといえます。しかし、思い付きでやみくもな設定や調整をおこなうと、逆効果となる可能性もあります。
費用対効果を上げるにはコツがあります。そのうち押さえたい10のコツを、以下にご紹介します。
ユーザー視点の広告文にする
商品やサービスのよさをPRしたいあまり、ユーザー視点を無視した広告文にすると、クリックされなかったり、なんとなくクリックされて結局サイトを離脱されてしまったりといった結果となり、成果につながらない可能性があります。
検索されるキーワードからニーズを考え、ユーザーが求めている情報を広告文に含めることがコツです。また、広告文の読者として身近に感じられる表現かどうか、競合が掲載している広告文に勝てるかどうかといった点も、考えたいポイントです。
広告文を分解するとタイトルと説明文の2つに分けることができます。タイトルの方が説明文よりもフォントが大きく表示されるため、先ずはタイトルをしっかりと作るこむことが重要となります。
よく言われる事として、ユーザーは1秒程度でクリックを判断しているので、なるべくわかりやすくすることが重要です。漢字が連続してたり、ひらがな、カタカナばかりだと見づらくなってしまうので適度にリスティング広告で使用可能な記号なども使っていきましょう。
CV(コンバージョン)に関係ない無駄なキーワードは削除する
CVと関係ない無駄なキーワードが入札されている場合、それを削除することも、費用対効果を上げるコツのひとつです。いくらクリック率が高いキーワードでも、CVにつながらなければ広告費がかさむだけです。データを定期的にみて、入札を継続すべきキーワードなのかを判断します。
また、キーワードの入札方法によっては、無関係な検索クエリ(語句)で検索したユーザーに広告が出てしまう場合があります。最初からCVにつながらないとわかっている検索語句は除外設定をしてしまい、無駄なクリックを防ぐようにします。汎用性の高いキーワードを拡張幅の大きい一致条件で設定してしまうと無関係な検索クエリまで拾ってしまうケースがあるので入札方法や一致条件の設定は注意してください。
CPA(顧客獲得単価)の高いキーワードばかりで狙わない
CPA(顧客獲得単価)は、CV1件あたりの広告費を表します。いくらCVが獲得できていても、このCPAが高いと、そのキーワードの費用対効果は低い可能性があります(ただし、CV1件ごとの価値も高ければ別です)。全体の費用対効果を上げるには、そのキーワードに配分している予算をよりCPAの低いキーワードに配分することが、有効な方法のひとつとして挙げられます。あくまで理想ではありますが、1インプレッション、1クリック、1CVといったキーワードを多く見つけることで費用対効果を高められます。
マッチタイプ機能をフルに活用する
リスティング広告のキーワードにはマッチタイプという機能があり、これを活用することでターゲティング(広告を表示する検索語句)の幅をコントロールすることができます。マッチタイプの種類は「部分一致」「絞り込み部分一致」「フレーズ一致」「完全一致」の4つで、ターゲティングを最も広くとれるのが部分一致、最も絞り込めるのが完全一致です。このマッチタイプをフルに活用するのも、費用対効果を上げるコツです。※「絞り込み部分一致」は2021年夏に終了
例として、まずは部分一致または絞り込み部分一致でキーワードを入札してサイト流入データを集め、流入した検索語句(検索クエリ)を確認し、CVにつながっている検索語句はフレーズ一致や完全一致キーワードとして追加入札します。また、検索につながっていない検索語句は、除外設定します。こうした調整を繰り返して、徐々に費用対効果を上げていくのです。広告予算が少ない場合は、最も効果的であると考えられるキーワードをフレーズ一致もしくは完全一致のみでスタートすることも効果的ではあります。その場合、思ったようにクリックが稼げない場合があります。その際は適切な入札単価になっているのを確認して入札単価に問題がない場合は、一致条件を徐々に広げて運用をおこなってみて下さい。
時間帯や曜日によっては広告を非表示にする
リスティング広告では、ある特定の時間帯や曜日で広告を非表示にすることができます。過去データで明らかにCVがない時間帯や曜日がある場合などは、いっそ非表示にしてしまうのも、費用対効果を上げるコツです。BtoB案件の場合は、土日のパフォーマンスが悪いことが大半です。その際は、思い切って平日のみの運用に切り替えて土日の予算をアロケーションしてみるのもひとつの戦略です。
そもそもCV(コンバージョン)の敷居が高くなっていないか?
サイトごとにCVの種類は異なるものですが、この敷居が高いとCVを獲得しにくくなり、費用対効果改善の足かせとなる可能性があります。例えば、高額商品の購入だけをCVとしていて、サイトに購入申し込みフォームしかなければ、ユーザーは躊躇してしまうでしょう。
その場合、まずは無料サンプルの申し込みをCVとし、申し込んだユーザーに改めて有料商品をPRすれば、最終的にその販売につなげられるかもしれません。CVの敷居が高いかどうかの判断には、競合サイトなどが参考になります。無料サンプルの申し込み以外にも、購入ボタンやフォームボタンのクリックをリスティング広告の成果として計測することも可能です。
CPCが高止まりしている
CPC(クリック単価)の高止まりが、費用対効果が伸び悩む要因となっている可能性があります。CPCは定期的にチェックし、キーワードの入札上限単価を下げたり、キーワードと広告文の関連性を高めて品質スコア(品質インデックス)改善を狙ったり、広告表示オプションを多用するなどして、調整するのがコツです。
広告運用を代行してもらっている場合、広告会社に適切な要求する
社内での広告運用が難しいとき、外部の会社に委託するケースがあります。経験が豊富で信頼できる会社であれば、運用自体は問題なくおこなってもらえるでしょうが、現状維持の運用となる可能性もあります。もし費用対効果改善の要望があれば、それをしっかり伝えたほうがよいでしょう。依頼しているリスティング広告のKPIを運用代理店に伝えて、KPIが達成出来ていない場合はどのような運用戦略でKPI達成を目指すのか確認してください。
常に改善し続ける
簡単に開始できるリスティング広告は、競合がいつ入ってきてもおかしくありません。一度費用対効果が改善したからといって調整を怠ると、その間に参入した競合の影響で、また悪化してしまうことも考えられます。データは定期的に確認し、常に改善し続ける意識をもつことが大切です。安定したパフォーマンスが達成出来ている場合は無理に調整をするのではなく、静かに見守ることも重要です。その際にパフォーマンスが崩れた場合は外的要因(競合他社)の動きをチェックして最適化を実行して下さい。
ランディングページを改善する
費用対効果を上げるには、CVR(コンバージョン率)を上げることも重要です。そしてCVRには、ランディングページの内容や設計などが関係します。ユーザーの興味を引くコンテンツを追加したり、お問い合わせや商品購入などに誘導する導線を工夫したりして、ランディングページを改善することも、押さえておきたいコツです。
まとめ
今回は、リスティング広告の効果検証や費用対効果改善について解説しました。コツを押さえつつ、期待通りの効果を出せるように日々調整しましょう。