Webサイト期待した成果を出すためには、ただ単純に「つくって終わり」ではなく、改善を続ける必要があります。
本記事では、サイト改善がうまくいかないパターンや、成功させるための手順、改善すべきポイントなどを解説します。
Webサイト運用を担当している方にとって、参考になれば幸いです。
サイト改善がうまくいかない2つのパターン
サイト改善に取り組む際には、正しい方法を知らないと、思うような成果が出せません。
それどころか、せっかく時間をかけたのに、かえって成果が落ちてしまうなどという事態になってしまう可能性すらあります。
そこでまずは、サイト改善が失敗する原因を解説します。
1.根拠や仮説をもたずにサイト改善に着手してしまう
サイト運用の知見がない場合、どうしても感覚的に改善をおこなってしまいがちです。
たとえば以下のような考えでサイト改善をしようとしてしまっている場合には、注意が必要です。
- デザインがなんとなく野暮ったいから、デザイナーさんに依頼してオシャレにしてもらおう
- 文章がなんとなく読みづらいから、ライターさんにリライトを依頼しよう
サイト改善をおこなう際には、必ず根拠や仮説をもって、論理的に施策を実行していきましょう。
そのためには、以下3点を言語化しておくことが重要です。
- 現状の何がネックとなっているのか
- どのように改善したいのか
- 改善するために何をするのか
これらが明確になっていると、施策実施後の成果測定もしやすくなり、PDCAをうまく回せるようになります。
2.ユーザーの視点をもたずにサイト改善を進めてしまう
コンバージョンが発生していないからといって、商品の購入やお問い合わせに強引に誘導するために、過剰なポップアップやアニメーションでCTAボタンを目立たせてはいけません。
あくまでもユーザーがどのように考えるかを意識して改善をおこなうようにしましょう。
ユーザーにとって使い心地のよいサイトであれば、より多くのユーザーに、より長くサイトを閲覧してもらえます。
その分、意思決定までの時間を長く過ごしてもらえるため、結果的に、貴社に好印象を抱き、購買などの意思決定をする可能性も高くなります。
ここでご紹介した2点を踏まえて、サイト改善を成功させるための手順を具体的にご紹介します。
サイト改善を成功させるための6つのステップ
サイト改善を成功させるために必要な行動を、6段階に分けて解説します。
1.サイトの目的を明確にする
改善に着手する前に、まずは自社のWebサイトでどのような成果をあげたいかを明確にする必要があります。
なぜなら、達成したい目的によって、有効な改善施策や分析方法などが変わるからです。
Webサイトであげたい成果の例としては、お問い合わせやお申し込みの獲得、商品販売、自社ブランドの認知度アップなどがあります。
その成果を期待通りあげられていないのであれば、何が課題なのかを考えます。
その課題を解決することが、Webサイト改善の目的です。
サイトへのアクセスを増やす、ユーザーのWebサイトにおける行動を変える、リードの質を上げることなどが目的となり得ます。
2.サイト分析で現状を把握する
ゴールを設定できたら、サイトの現状を把握しましょう。
このとき、主観ではなく、データを用いて客観的に現状を分析することが重要です。
オススメのデータ収集ツール
データの収集は、ツールを用いておこないます。オススメのツールは以下のとおりです。
ツール名 | 説明 |
Google Analytics | Webサイトに訪れるユーザーの傾向を、データとして確認することができます。
ユーザーの年齢層や性別などの要素で絞り込んで分析もできるため、「自社が対象としているユーザーに適切に訴求できているか」を検証するのにも役立ちます。
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Google Search Console | Webサイトに訪れるにあたり、ユーザーがどのようなキーワードで検索したのかを確認することができます。
検索キーワードの表示回数や自社ページの表示順位なども確認できます。
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ユーザーがサイト上でどのように行動したのかを確認できるツールです。
もっともよく見られている場所や、もっともよくクリックされている場所などを可視化してくれるので、コンテンツ内での情報設計がユーザーに評価されているのかを判断する役に立ちます。
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Google AnalyticsとGoogle Search Consoleは、Googleが提供しているツールです。
いずれも無料で使用できます。
ヒートマップツールはいろいろな会社から提供されており、料金形態や機能などに違いがあります。
「Clarity」や「QA Analytics」など、まずは無料で使用できるツールから試してみるとよいでしょう。
見るべき指標
サイトの現状を把握するために確認しておきたい指標は、たくさんあります。
ここでは、訪れたユーザーにとって有益なサイトになっているかを判断する指標として、Google Analyticsで計測できる指標のうち 3つご紹介します。
指標 | 概要 |
コンバージョン率 | ユーザーがコンバージョンに至った割合を示す指標です。
「コンバージョン」とは、お問い合わせ、資料請求、購入など、ユーザーが意思決定して起こした行動のことを指します。
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直帰率
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ユーザーがサイトに訪問したページだけを見て検索結果画面などに戻ってしまった割合を示す指標です。
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離脱率
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ユーザーがサイトに訪問し、どこのページで見るのをやめたかの割合を示す指標です。
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3.分析データに基づき課題を抽出
データを使って客観的に現状を把握できたら、自社サイトの抱える課題を言語化していきます。
たとえば以下のような点に着目して調べていくと良いでしょう。
コンバージョン率が低いページはないか
コンバージョン率が低い場合は、サイト内のコンテンツ品質やコンバージョン導線に課題がないかを点検します。
- サイトを訪問したユーザーにとって有益な情報を提供できているか
- ユーザーがコンバージョンしたいと思った箇所でCTAボタンが設置されているか
- CTAボタンは見つけやすいか
- フォームの入力項目はわかりやすいか
直帰率、離脱率が高いページはないか
直帰率や離脱率が高い場合は、ユーザーが求めている情報を提供できていない可能性が考えられます。
ヒートマップも活用し、どのポイントで離脱してしまっているのかを調べましょう。
もしくは、ページの表示速度が遅いためページをすぐに離脱してしまっている可能性もあります。ページの速度に問題ないかも確認すべきです。
また、流入元別のデータも分析してみると、別のアプローチも考えられます。
たとえば、広告経由でアクセスされた際に離脱率が高い場合は、広告とコンテンツとの関連性が低いのかもしれません。広告の文言やクリエイティブの改善も検討できます。
4.課題の改善施策を考える
課題を抽出でき、改善のアプローチを検討できたら、いよいよ改善案を出していきます。
STEP1で検討した「サイトの目的」達成に対してどれくらいインパクトがあるか を軸に、改善施策の優先順位をつけていきましょう。
施策によって、必要となるリソースにも差があるはずです。
文言の一部変更など比較的リソースをかけずにすぐ改善できる施策から先に着手し、デザイン全体の調整など大がかりな改善は長期的に改善していくなどの計画を立てて、施策を進めていきましょう。
たとえば、以下のようなマトリクスで優先度を判断するのもオススメです。
5.優先順位を決め、改善策を実施
改善施策が明確になったら、施策を実行に移していきます。
施策を実施する際には、優先度の高いものから、 一つずつ実施するようにしましょう。
なぜなら、たくさんの改善施策を同時に実行してしまうと、結果的に何が成果に結びついたのか分かりにくくなってしまうことがあるからです。
施策の効果測定を正確におこなうためにも、現在取り組み中の施策が何なのかが把握できているようにしましょう。
6.効果測定し、施策の振り返りを行う
改善施策は、実行しっぱなしにするのではなく、しっかりと効果測定をおこないましょう。
すぐに成果が出ることは稀なので、一定の期間を置いて検証する必要があります。
改善施策を実施した前後での変化を測定し、当初の仮説が正しかったのか、また、効果は十分に得られたかなどを検証します。
効果測定の結果を踏まえて、うまくいった部分とうまくいかなかった部分を明確にし、PDCAを回していきましょう。
Webサイトで改善すべき6つのポイント
具体的に、成果のあがらないWebサイトにありがちなポイントを6つご紹介します。
これらを知っておくことで、サイトのどの部分に課題があるのか見当をつけやすくなります。
1.ページ間の移動がしづらい
Webサイト内のページ移動がしづらいと、ユーザーはサイトからすぐに離脱してしまいます。
ユーザーがページ間をうまく移動できているかを、Webの世界では「回遊率」と呼びます。
回遊率が悪いということは、お問い合わせや商品購入など、こちらが期待する行動をユーザーが取る前に、Webサイトを離脱する可能性が高いと判断できるのです。
具体的には、以下のような問題がある場合に回遊率が下がりやすくなります。
- 次にどのページへ移動したらよいか分からない
- ページ間の関連性が分かりづらい
対策としては、ユーザーがサイト内を移動しやすくなるよう、うまく導線をつくることが挙げられます。
具体的には、以下のような改善が考えられます。
- ヘッダーを固定し、各カテゴリページに移動しやすくする
- 記事の下部やサイドバーに、関連する記事へのリンクを設置する
- ユーザーが「もっと詳しく知りたい」と感じるであろう箇所に、詳細な記事へのリンクを設置する
2.ユーザーの欲しい情報とページ内容がマッチしていない
ユーザーは欲しい情報を求めてWebサイトを訪問します。
自分の求めている情報が得られないサイトだと判断すれば、離脱してしまったり、他のWebサイトに移ってしまったりします。
ユーザーが求める情報を何かを考え、それに合致したページになっているかを検討しましょう。
とくに重要なのが、ランディングページの内容です。
ランディングページとは、ユーザーがWebサイトを訪問して最初に目にするページのことです。成果をあげるには、このページの内容とユーザーの欲しい情報とをマッチさせる必要があります。
そのためには、ユーザーが検索してくるキーワードを想定して、そこから読み取れる情報ニーズにあった内容を盛り込むようにしましょう。
また広告を出している場合、ユーザーは広告で示された内容を期待してWebサイトに訪問するため、ランディングページの内容は広告と整合性の取れたものにしましょう。
3.見出しがない・読みづらい
多くのWebサイトは、文章で情報を伝えます。その文章の書き方が悪いと、たとえテーマが興味深いものだったとしても、ユーザーは読むのをあきらめてしまい、早期に離脱してしまう可能性があります。
具体的には、見出しがなかったり、文章構成が不自然で読みづらかったりすることなどが挙げられます。
Webライティングが得意なライターさんに文章を依頼するのが有効な対策ですが、そのようなリソースがないという場合は、明らかに問題がある部分だけチェックするなどして、少しでも改善を図るようにするとよいでしょう。
Webでの文章には、どちらかというと「簡潔さ」や「分かりやすさ」が求められます。文章をキレイに整えるために修飾語を多用したり、専門的な内容を説明するために難解な用語を多用したりするのは避けましょう。
3.CTAボタンが目立たない
「問い合わせ」や「資料請求」「購入」といったユーザーの行動を促すためのボタンを「CTAボタン」と呼びます。
CTAボタンに気づきにくい場合、せっかく貴社に興味関心を抱いてくれたユーザーが行動を起こせない可能性があります。
こうした状況は、ユーザーにとっても貴社にとっても好ましくないため、すぐに改善しましょう。
もちろん、過度に目立たせるとユーザーの利便性を損なう恐れがあるため、あくまでもユーザーの視点に立った改善が重要です。
4.フォームに入力すべき項目数が多すぎる
資料請求や問い合わせなどでユーザーに情報を入力してもらう場合、入力項目は必要最低限に絞っておきましょう。
ユーザーの立場で考えた場合、資料請求や問い合わせのために詳細な個人情報を入力するのは、心理的にも時間的にも負担が大きいものです。
結果として、フォームの入力途中で離脱されてしまう可能性もあります。
「何のために情報を入力してもらうのか」「入力してもらった情報を自社がどのように活用するのか」を明確にし、ユーザーの情報入力の手間を最小限にするよう意識してください。
5.ページの表示速度が遅い
ページの表示速度が遅いと、ユーザーはストレスを感じてしまいます。
また、画像が表示される度にページのレイアウトがずれてしまうようなサイトも、ユーザーにとっては利便性が低いものです。
こうしたサイトは、ユーザーがしびれを切らして離脱してしまう可能性があります。
ページの表示速度を改善するために取れるもっともカンタンな方法は、Webサイトに挿入する画像を圧縮するというものです。
「画像 圧縮 」などで検索すると、画像サイズを圧縮してくれるサービスが多数見つかります。
なお、ページの表示速度は「Page Speed Insight」というツールを用いて計測できます。
画像サイズを圧縮することによる効果は、メインコンテンツの読み込み時間を評価する「LCP」という指標によって測定可能です。
成果を出すために実施すべきWeb改善の手法
最後に、成果を出すための具体的な改善手法について解説します。
少し専門的な内容もあるかもしれませんが、知識としてもっておくことをおすすめします。
1.SEO(検索エンジン最適化)
Webサイト改善において最も一般的な手法のひとつが「SEO」です。
日本語で「検索エンジン最適化」とされる通り、GoogleやYahoo!などの検索エンジンの検索結果上位にWebサイトを表示させるための施策を指します。
SEOを成功させ上位表示できれば、Webサイトへのアクセス増加が期待できます。SEOには専門的な知識が必要ですが、基本的な考え方は非常にシンプルです。
それは「ユーザーにとって有益なページにすること」です。
ページの表示速度を改善したり、読みやすくわかりやすい文章を書いたりするのも、SEOを成功させるためのひとつの手段だといえます。
2.EFO(入力フォーム最適化)
EFOとは、入力フォームを最適化する手法のことをいいます。
お問い合わせや商品購入などの際にユーザーが情報を入力するフォームについて、項目数や内容などを改善する施策です。
項目が多すぎたり、必須といえない項目があったりすると、ユーザーは入力を躊躇してしまう可能性があります。
せっかく顧客になってもらえそうなユーザーを逃さないために、EFOは重要です。
ユーザーの視点で、自社の入力フォームが不便なつくりになっていないかをチェックしましょう。
また、EFOが成功しているかを測定してくれるツールも存在します。
目視での改善だけでは効果を上げるのが難しいと感じる場合には、ツールの活用を検討してみるのもよいでしょう。
3.CRO(コンバージョン率最適化)
お問い合わせや商品購入など、ユーザーが意思決定し行動を起こすことを「コンバージョン」といいます。
そしてWebサイトを訪問したユーザーのうち、どの程度の割合がコンバージョンに至ったかという数値を「コンバージョン率」と呼びます。
ユーザーのニーズを分析し、どのような情報を提供すれば自社の商品・サービスを必要としてくれるかを考えましょう。
そのうえで、意思決定を起こしてもらえるよう、ユーザーが抱える不安や疑問を丁寧に解消していくことを意識してください。
情報設計だけでなく、コンバージョンにつながるリンクやボタンのデザインを変えてユーザーに気づいてもらいやすくしたり、ユーザーの行動を促進するようなテキストを添えるなどの方法もあります。
たとえば「問い合わせ」をおこなってもらいたい場合、単に「問い合わせ」と書くよりも「●●の方法を問い合わせる」など、どのような行動を起こせばよいのかを明示することで、ユーザーの行動を促進できる可能性があります。
3.UI/UX改善(デザインや操作性の改善)
Webサイト改善においてはUIやUXの改善は、Webサイトを運用していくうえで非常に重要な要素です。
「UI」とは、ユーザーがWebサイト上で触れる要素を指します。
「UX」とは、ユーザーがWebサイト上でできる体験のことです。
Webサイト内の視認性や操作性を高めるなどして、ユーザーの使いやすさを改善しましょう。
感覚的にデザインを変更するのではなく、ユーザーの目線にたち、どのようなデザインであればより利便性が高まるかを考えることがポイントです。
とくに、自社が対象とする顧客の性別や年齢層に好まれやすいUI/UXを採用すると、より効果が発揮されやすくなります。
まとめ
今回は、Webサイトの改善について、ポイントや手法などを解説しました。
BtoBサイトなのか、ECサイトなのかなどによって細かい施策は変わりますが、基本的な手法は共通しています。
目的や自社の状況などをふまえて、取り組めそうな手法を選んで試してみてください。
弊社デジタルチェンジでは、広告とランディングページとの関連性を高めるという観点で、サイト改善のアドバイスをしています。
広告運用と並行してサイト改善をおこないたいとお考えの方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。